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姓名分割アプリを作りました
開発パートナーの三浦です。ケイジェンド・プロダクツでデジタルツールの開発を担当しています。前回は、ヤマトさんの荷物問い合わせを一括処理するアプリの事例をご紹介しました。今回は、機械学習技術を活用して「姓名分割」アプリを開発した事例をご紹介します。
開発の背景
総務や営業を担当されている方々は、挨拶状やCXOレターを送る際に「宛名の氏名の間にスペースを入れたい」「文中に名字を差し込みたい」といったニーズがあることをご存じかもしれません。多くの場合、宛先リストはすでに姓名で分割されており、この情報を効果的に活用することができます。しかし、特定のフォーマットやシステム上の制約により、姓名が一つのフィールドに統合されている場合もあります。このような状況では、希望する形式で印刷物を作成するために、手作業での分割や、場合によっては外注が必要になり、追加のコストが発生する可能性があります。このような不便を解消することで、お客様の選択肢を広げられると考えました。
試したこと
既存のツールで対応できないか調査しましたが、業務用としては精度や処理能力に問題がありました。そこで、次の三つのアプローチを試みました。
①Excel関数を使う
名字の辞書を用意して突き合わせれば、ある程度は効率よく分割できますが、高い精度は望めません。手作業による修正が不可欠です。
②生成AIを使う
ChatGPT4の背景にある技術を使って分割するアプローチです。実際に50件ほどの氏名サンプルで試した限りでは100%の精度でした。しかし、メッセージの文量に制限があるので、大きいデータを渡すには、やり取りに工夫が必要です。課金される点も考慮する必要があります。
③機械学習アルゴリズムを使う
トレーニング済みのデータを用いれば、高精度での姓名分割が可能です。今回は、機械学習エンジニアのrskmoiさんが開発した「namedivider」という姓名分割に特化したライブラリを利用させていただき、効率的に処理できるWebアプリを作ることにしました。
99%の分割精度、残り1%の対策
namedividerは約99%の分割精度を誇りますが、業務用途では1%のミスも許容できません。したがって、全データを目視で確認し、誤りがあれば修正する必要があります。これは大量データでは現実的ではないため、修正が容易なUI(画面)の設計を行いました。
分割ミスの発見と修正を助けるUI
分割精度スコアを用いた並べ替え機能と、編集可能なデータテーブルを提供し、ユーザーが簡単に修正できるようにしました。このスコアは、「namedivider」ライブラリから得られるもので、それぞれの氏名がどの程度正確に分割されたかを示しています。ユーザーはスコアに基づきデータを並べ替えることで、分割の精度が低い(修正の可能性が高い)項目を迅速に特定し、必要に応じてその場で修正ができます。加えて、データテーブルは列ごとにコピーすることができます。コピーボタンをクリックすることで、その列のデータを一括でコピーし、エクセルに戻すことが可能です。このアプローチにより、数千件のデータでも、実際の修正作業はごくわずかな労力で済みます。たとえば、1,000件程度のデータなら、2, 3分で作業が完了します。
今後の開発予定
先述した通り、生成AIの分割精度が人間のレベルか、それ以上の精度なので、残り1%の修正を生成AIにダブルチェックしてもらう機能の開発を計画しています。
終わりに
ケイジェンド・プロダクツでは、今回ご紹介したようなアプリを開発したり、既存のツールを活用するなどして、お客様のご要望に最大限お応えするサービスづくりを大切にしています。
- HubSpotなどのCRMと連携して印刷・発送したい
- APIやGoogleスプレッドシートを活用して印刷・発送業務を自動化したい
- 印刷・発送注文や請求業務の手間は省きたいけど、チャットですぐに連絡できるようにはしてほしい
- ダイレクトメールのQRコードにアクセスした方を特定したい
など、現在のワークフローを崩さずに、印刷・発送にまつわる業務を効率化したいお客様は、お気軽にご相談ください。
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